普段みなさんがよく目にする道路標識。
その道路標識についてみなさんはどの程度知ってらっしゃいますか?
ここでは道路標識について少しお話しようと思います。
道路標識は、道路法及び道路交通法の規定によってその様式、道路設置者の区分、設置場所等が定められており、その他の事項についても「道路標識・区画線及び道路標示に関する命令」(通称:標識令)に定められています。
道路標識は標識令第一章に規定されていて、案内標識、警戒標識、規制標識、指示標識、補助標識に分類されています。このうち案内標識、警戒標識、規制標識、指示標識を「本標識」と呼びます。
道路にはそれ以外の案内や注意喚起、指導用の看板類が設置されていますが、これらは道路標識には含まれません。
以下、各分類ごとに説明します。
道路標識には車のヘッドライトの光などで反射することで見える「反射式標識板」と、標識板の中に照明として蛍光灯やLEDが組み込まれ、電気が点灯することによって見える「内照式標識板」があります。
現在設置されている道路標識板は「反射式標識板」が主です。
反射式標識板はアルミニウムの板に補強材を取り付けたもの(基板と呼んでいます)に反射シートを圧着して作られています。アルミニウムが使われているのは、サビに強いという性質があるからです。
道路標識に使用される反射シートにはガラスビーズなどが入っています。光はこれらに当たると、中で屈折して再び光源に向かって戻ってきます。これを「光の再帰性」と呼びます。
車のヘッドライトが標識に当たると、同じように反射し、車の方向、つまり私たちの目に入ってきます。
このために標識は光って見えるのです。
ちなみに、反射シートにはいくつか種類があり、それぞれ光る度合いが異なります。また、路肩からサーチライトのような照明灯具で光を照射させて光らせる「遠方照明式標識」というものもありますが、こちらは遠方照明式専用の反射シートが使われています。
もちろん、決まりごとがあります。
「道路標識・区画線及び道路標示に関する命令」(通称:標識令)に基づき、設置基準、要領、指針等が定められており、道路標識整備に関する一般的な基準として「道路標識設置基準」という形で取りまとめられています。また、高速道路に関しても、高速道路各社で定めた「標識設置要領」に基づいて設置されています。
具体的な例として、道路の路面や地面から道路標識の下端までの高さ(クリアランスと呼びます)を、大型の標識で5m、小型標識で2.5mまたは1.8mにて設置するのが一般的です。
なぜ2.5mと1.8mなのでしょう。通常、道路標識を設置する場所は歩道や植樹帯等が多いのですが、人の歩く可能性のある場所に設置する場合は 2.5m、植樹帯等の人の歩く可能性のない場所に設置する場合は1.8mにするのが一般的です。歩行者の方が標識板に頭をぶつけたりしないよう配慮されているのです。
高速道路の小型標識はどうか、といいますと、こちらは2.0mに設定されています。一方の大型標識は一般道も高速道も同じ5.0mです。
余談ですが、一般道で大型標識の標識板下端が何かに当たって損傷しているのを見たことがありますか?原因はトラックの積荷がぶつかったものと考えられます。通常なら絶対に当たるはずのない(当たってはいけない)高さなんですけどね…
道路標識は、道路法や高速自動車国道法及び道路交通法等に基づき設置されています。
道路交通法に基づき設置される標識は各都道府県公安委員会(警察)が設置し、その他の道路標識は道路法に基づき道路管理者が設置します。言い換えますと、案内標識と警戒標識のすべて、規制標識・補助標識の一部は道路管理者が設置し、規制標識と指示標識の大部分、規制標識の補助標識などは公安委員会が設置しています。
道路管理者とは、国土交通省や各高速道路会社、都道府県、市町村など、その道路を管理する機関のことで、例えば都道府県道は各都道府県の知事、市町村道は各市町村の長が管理しています。
国道といっても、国ではなく都道府県や政令指定都市が管理している路線もあり、それらはその自治体が道路標識を設置しています。
道路標識の寸法は、一部の案内標識をのぞき、標識令で決まった寸法があります。